私達がこの地球上に存在するために非常に大切な自然環境、その意味と必要性を考えてみます。

   

干潟の話

干潟といえば有名な「諌早湾」。ここはなかなか解決が難しい問題が山積しています。

ところがこの問題のおかげというべきか、「干潟」という言葉をあらためて認識することとなりました。

「干潟」とはただの汚い泥の海なんだと思っていましたが、

鳥や貝、ゴカイ達にだけでなく、どうも人間にとっても重要な海らしいのです。

この「干潟」って何だろうと思いはじめ、そこで「干潟」について勉強してみました。

干潟は潮の満ち引きの差が大きい太平洋側で激しい波の影響を受けにくい内湾に多くみられます。私たちから見ると、決して美しいとは言い難い砂や泥の浜なのですが、こんな干潟はいったい何の役に立つのでしょうか?それの答は、ここで生息する生物たちの実に豊かな生態系から出されます。この生物たちの生態系がつくり出す浄化機能の働きは、現在の科学ではとてもまねができないとも言われているのです。
陸上に暮らす人間の生活圏から川に生活廃水などいろいろな「汚れ」が流されます。そして干潟に流れ込んできます。この「汚れ」には有機物(動・植物性の死がいや排泄物などの廃棄物)や栄養塩(水に溶けた窒素やリンなど)が含まれています。けれど、この「汚れ」は、干潟やその周辺に生息するヨシや海藻類、植物プランクトンの成長に必要であり、底生生物(カニ、貝類、ゴカイなど)のエサになる大切なものです。
   
●干潟周辺のヨシや植物プランクトン、海藻類がこの「栄養塩」を吸収して成長する。「有機物」は干潟に住むカニや貝類、ゴカイなどの底生生物のエサになる。
●栄養塩を取り込んだ「植物プランクトンや海藻類」を底生生物や魚たちが食べる。 
●植物プランクトンや海藻類を食べた「底生成物や魚」が死んだり、あるいは出した排泄物をバクテリアが分解して栄養塩に戻す。
 
このような「干潟の生態系の食物連鎖」ができあがり繰り返されて、自然界による下水処理の浄化作用が行なわれます。つまり自然が創った高度な下水処理施設なのです。
 

 
  ▲拡大地図の中の「曽根干潟」をクリックしてください。
   
 
     
 
人間や鳥が干潟の魚やカニ、貝を採って食べることも、干潟を守る大きな役割を果たしています。
人間や鳥たちが干潟の魚やカニ、貝を食べることは、干潟に流した有機物や栄養塩を陸上に戻すことになり干潟が処理しなければならない「汚れ」の量を減らすことつながります。つまり、干潟の処理能力以上の「汚れ」がたまらないように干潟の処理作業を手伝っているわけです。

干潟の生態系が狂ったら、 干潟の生態系のバランスが壊れ干潟の浄化機能に狂いが生じます。例えば、植物プランクトンが大量に発生すると「赤潮」が起きたりします。干潟の底生生物が豊富であれば植物プランクトンが過剰になることはありませんが、干潟の生態系がいったん狂ったら魚介類に大きな被害をもたらし、漁業者や私たちの食卓にたいへんな影響が生じます。

 
健全な生態系をもつ干潟は、稚魚や稚貝の産卵、成長の場でもあり、干潟が存在する海は、昔から漁獲高も高く豊かな海の象徴でした。干潟は海の資源を育てる「揺りかご」というわけです。
干潟には、シギやチドリ、カモメやサギ、カモがたくさんやってきます。渡り鳥たちは日本の干潟で栄養をうんと捕って旅をします。しかし、十分なエサがない干潟にはやってこない。渡り鳥がたくさん訪れてくれる干潟は人間にとっても豊かな海なのです。

一方、生態系の絶たれた海は、いくら青く美しい姿を見せていても死んでいるのです。